国別海外展開ガイド連載第3回:ベトナム進出入門 市場性・ビザ・EOR活用の基本【2026年版】

はじめに:なぜベトナムか
ベトナムは、2020年代を通じて日本企業の進出先として急速に注目を集めている国です。平均年齢32歳の若年人口、年6〜7%のGDP成長率、米中対立によるチャイナプラスワンの受け皿、そして急速に成長するITエンジニア人材。製造業・IT業界を中心に、進出件数は年々増加しています。
【ベトナムの魅力】3つの優位性
1. 若く成長する市場
人口約1億人、平均年齢32歳、中間層の急速な拡大。ハノイ・ホーチミンの都市部では消費意欲が高く、日本ブランドへの信頼感も強い有望市場です。
2. 製造拠点としての優位性
労働力コストが中国の3〜5分の1、タイより20〜30%安く、同時に労働者の勤勉さと手先の器用さが高く評価されています。チャイナプラスワンの最有力候補として、電子機器、繊維、自動車部品など多くの日系メーカーが進出しています。
3. ITエンジニア人材の宝庫
ハノイ・ダナン・ホーチミンに集積するIT人材は、月給の相場がシンガポールの3分の1〜5分の1。日系IT企業のオフショア開発拠点として、またグローバルSaaS企業の開発チームとして急速に活用が進んでいます。
【就労ビザ】主要な種類の全体像
ベトナムで外国人が合法的に就労するには、Work Permit(労働許可証)とTemporary Residence Card(一時居住証)の2つが基本的に必要になります。
- Work Permit(労働許可証):外国人就労の基本許可。有効期間最長2年、更新可
- Temporary Residence Card(TRC):Work Permit取得後に申請。最長2年、家族帯同も可能
- Business Visa(DN):短期出張用。90日〜1年、Work Permit前の暫定利用
| Work Permit取得の実務ハードル ベトナムのWork Permit取得には、以下の要件があります: ・大卒以上の学歴(卒業証明書のアポスティーユ付き) ・該当職種に関する3年以上の実務経験 ・無犯罪証明書(日本・ベトナム両国) ・健康診断書 書類の収集・翻訳・公証に2〜3ヶ月かかることが多く、申請前の準備が重要です。 |
【進出方法】現地法人 vs EOR活用
現地法人設立
ベトナムの現地法人設立には、投資登録証明書(IRC)と企業登録証明書(ERC)の2つが必要で、取得に通常2〜4ヶ月かかります。業種によっては外資規制があり、手続きがさらに複雑化します。
EOR活用
現地法人を持たずに、EORプロバイダーを通じて現地スタッフを雇用する形態。IRC/ERC取得不要で最短2〜3週間で稼働可能。ベトナムの複雑な労働法・社会保険対応をEORが担うため、進出のハードルが大幅に下がります。
| ベトナムは特にEORの価値が高い ・現地法人設立に2〜4ヶ月かかる(シンガポールは2週間) ・外資規制・業種別許認可が複雑 ・労働法が厳格で、解雇規制が強い ・社会保険(SI/HI/UI)の計算が複雑 これらの実務負荷をEORが引き受けるため、ベトナムではEORがとりわけ重宝されます。少人数展開では「まずEORで試す」が鉄則です。 |
まとめ:成長市場に素早く入るならEORから
ベトナムは、成長市場・製造拠点・IT人材の3つの軸で魅力的な進出先ですが、現地法人設立と労働法対応のハードルが相対的に高い国でもあります。初期段階ではEORを活用して素早く稼働させ、事業性を確認してから現地法人化を検討する段階的アプローチが推奨されます。
次回(連載第4回)では、ベトナム実務編として、現地法人設立の詳細手続き、税制、現地採用の給与水準、よくある落とし穴を深掘りします。
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連載:国別海外展開ガイド
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連載第1回:シンガポール進出入門
連載第2回:シンガポール実務編
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