年末を迎える前に、グローバル対応の事業体制を整える:国際事業の分断を解消するのに第4四半期が最適な理由

Jason Gerlis:Chief Revenue Officer(最高収益責任者)Revenue
Jason GerlisはGoGlobalのChief Revenue Officerを務め、企業の国を越えた事業展開を支援しています。Ocorian、TMF Group、Deloitteで培った20年以上にわたるグローバルオペレーションのリーダーシップ経験を有しています。
2026年も終わりに近づくなか、企業には、国際事業を支えるコスト、体制、サービスプロバイダーを見直す機会が訪れています。目指すべきは、不要な複雑さを取り除き、今後の事業展開を支えられる運営モデルを整えることです。
国際展開が最初から完璧な計画どおりに進むことは、ほとんどありません。ある市場には雇用代行(EOR)を通じて参入し、別の市場では給与計算プロバイダーを追加し、事業機会が生まれるたびに現地法人を設立するといった形で進めていきます。
それぞれの判断は、その時点では理にかなっています。しかし、事業が成長するにつれて、こうした体制の管理は次第に難しくなり、コストも増えていく可能性があります。問うべきなのは、そうした複雑さが今も自社の事業に役立っているかどうかです。
私が見てきた企業のなかには、想定以上に多くの時間をプロバイダー間の調整、コストの照合、分断された業務プロセスの管理に費やしているところもあります。こうした課題を解決するために、必ずしも全面的な見直しが必要なわけではありませんが、現状を詳しく確認する価値はあります。
第4四半期は、どの体制がうまく機能していて、どの体制が事業の足かせになっている可能性があるのかを見極める時期です。
なぜ第4四半期が国際事業の体制を見直すのに適しているのか?
予算が確定に向かい、ベンダー契約の更新時期が近づき、今後の優先事項が明確になる第4四半期は、業務体制を変更するうえで現実的なタイミングです。
給与計算と会計を例に考えてみましょう。どちらも、報告サイクル、過去の記録、法定義務に関わる業務です。新しい暦年の開始時にプロバイダーを変更すれば、報告期間の区切りを明確にし、移行を簡素化できる場合があります。
そのため、多くのクライアントが9月や10月に意思決定を行い、1月1日を希望する移行日としているのを目にします。
サービスの内容によっては、オンボーディングに45~90日、あるいはそれ以上かかることもあります。早めに着手すれば、データの準備やプロバイダー間の調整に十分な時間を確保でき、不要な業務の中断を避けられます。
早期に開始することで、適切なテストを行う時間も確保でき、慌ただしい移行や未解決の問題が1月まで持ち越される事態を防ぎやすくなります。
1月1日が絶対的な期限というわけではありません。当社は年間を通じて移行を支援していますが、年の途中で変更する場合は、給与記録や報告義務に関して追加の調整が必要になることがあります。
本当の失敗は、1月の切り替えに間に合わないことではありません。事業運営モデルを見直す必要があると認識しながら、何も行動を起こさないことです。
現在のEORの利用形態は、今も自社に適しているか?
EORは、自社で法人を設立せずに海外で従業員を雇用するための有効な手段です。現地での直接雇用に伴う事務負担をすべて引き受けることなく、市場に参入し、チームを構築し、事業機会を探る柔軟性を企業にもたらします。
事業のニーズによっては、EORが長期的にも適切なソリューションとなる場合があります。重要なのは、そのモデルが引き続き価値をもたらすのはどのような場合か、また、現地法人の設立によって商業面または業務面でより大きなメリットが得られるのはどのような場合かを理解することです。
EORを利用して従業員2人である市場に参入したと想像してください。数年後には、現地の従業員が20人に増え、顧客基盤も拡大し、当面その市場から撤退する予定もありません。
その段階では、コスト面と業務上の要件を改めて検討する必要があります。
適切な判断は、事業の長期計画、コスト構造、業務上の要件によって異なります。状況によっては現地法人の設立が有利になることもありますが、それが必ずしも次のステップになるわけではありません。
従業員数だけでなく、全体像を確認する
現地法人を設立すべきタイミングを示す、すべての企業に共通する従業員数の基準はありません。
複数の要素を考慮する必要があります。
| 検討事項 | 確認すべき質問 |
|---|---|
| 従業員数の増加 | 現在のチーム規模はどの程度か。また、今後どのような採用を予定しているか? |
| 運営コスト | EORの手数料は、法人設立、給与計算、会計、法人維持にかかるコストと比べてどうか? |
| 市場への長期的な関与 | その市場で需要を試している段階なのか、それとも恒久的な拠点を構築しようとしているのか? |
| 商業活動 | 現地で契約を締結し、収益を生み出し、あるいは法人設立を必要とする活動を行う必要があるか? |
| 業務管理 | 現在の体制は、事業に必要な監督体制と柔軟性を支えているか? |
現地法人の設立には、法務、税務、銀行口座、雇用に関する検討事項が伴います。また、従業員をEORの利用形態から直接雇用へ移行させる場合にも、慎重な計画が必要です。
こうした要件に注意を払うことは重要ですが、商業的な合理性を失った体制を維持し続けるコストにも目を向ける必要があります。
GoGlobalでは、従業員構成、コスト、市場への関与、業務上の要件に基づき、クライアントが双方の選択肢を評価できるよう支援しています。EORの利用を支援することも、自社の現地法人の設立・管理を支援することも可能です。目的は、どちらか一方のモデルを優先することではなく、それぞれの事業を最もよく支える体制を見極めることです。
従業員構成や市場への関与が変化したら、現在の体制を見直しましょう。EORは、柔軟性、コスト、管理のバランスを今も適切に実現できているでしょうか。それとも、自社の現地法人を通じた直接雇用のほうが、事業計画をよりよく支えられるでしょうか。
ベンダーの分散によって、想定以上のコストが発生していないか?
完璧な手順書に従って5カ国に事業を展開する企業はありません。
ある市場に参入して給与計算プロバイダーを選定し、別の市場ではEORを通じて従業員を雇用し、さらに別の国では現地の福利厚生管理会社が必要になることもあります。気づけば、国際事業全体で異なるプロバイダー、契約、業務プロセスを管理することになります。
私は、海外のプロバイダーを管理する作業が、海外事業そのものを管理するのとほぼ同じくらい大きな負担になっている企業を見てきました。
財務部門は従業員関連コストを集約する必要がありますが、その情報は複数のプロバイダーに分散しています。人事部門は、ベンダー間で日常的な依頼を調整することに時間を費やしています。現地のコンプライアンスに関する質問は、明確な責任者が決まらないまま、あるチームから別のチームへと引き継がれています。
個々のサービス自体は、問題なく機能しているかもしれません。しかし、それらをつなぐ運営モデルがうまく機能していないのです。
隠れたコストは、必ずしも請求書に記載されるとは限らない
企業が海外のベンダーを見直す際、当然ながら最初に確認するのは料金です。しかし、業務が分断されることで生じるコストは、各プロバイダーが請求する金額だけではありません。
次の3つの領域を考えてみましょう。
| コストの領域 | 業務の分断によって生じること |
|---|---|
| 財務 | 重複する手数料、購買交渉力の低下、一貫性のないコスト報告 |
| 業務運営 | 契約、更新日、照合作業、社内調整の増加 |
| コンプライアンス | 異なる業務プロセス、責任の所在の不明確さ、監督体制の不備 |
こうした追加業務の負担は、最終的に社内の誰かが引き受けることになります。
財務チームは、複数の国の給与計算レポートを照合するために何時間も費やすかもしれません。人事部門は、従業員1人の問題を解決するために3社のプロバイダーへ連絡しなければならないこともあります。経営陣は、海外での雇用にかかる総コストを正確に把握できず、判断に苦慮するかもしれません。
こうした問題が、必ずしも直ちに危機を引き起こすわけではありません。しかし、積み重なれば、成長を支えるために使えるはずのリソースを消費してしまいます。
契約更新を戦略的な意思決定の機会と捉える
ベンダー契約の更新は、単に料金の引き下げを交渉する機会ではありません。国際サービスの管理方法を見直す機会でもあります。
給与計算、人事管理、会計、コンプライアンスを、より連携の取れたモデルで管理できないでしょうか。プロバイダーとの関係を減らすことで、可視性と説明責任を高められないでしょうか。専門性の高い現地サービスのなかに、継続して利用する価値があるものはないでしょうか。
サービスの集約は、ベンダー数を減らすためだけに、優れた現地ソリューションを置き換えることを意味するべきではありません。目指すべきは、各市場で事業に必要な専門知識を損なうことなく、管理体制を簡素化することです。
GoGlobalのアプローチは、現地の専門知識に支えられた一元的な管理窓口を軸に構築されています。企業には、各国の要件を理解している人材が必要ですが、すべてが連携して機能するよう、その全体に責任を持つ存在も必要です。
サービスを集約する価値は、ベンダー数を減らすことだけではありません。ベンダー間に生じる隙間を減らすことにあります。
これは、何か問題が発生したときに特に重要になります。誰がその問題を担当するのかを確認することに時間を費やすのではなく、チームが明確な解決ルートを通じて問題に対処できる必要があります。
グローバル福利厚生を最大限に活用できているか?
福利厚生も、過去の判断が気づかないうちに将来の問題へと変わり得る領域の一つです。
ある市場で最初に従業員を採用した際に、福利厚生パッケージを整えた企業があるとします。それから2年が経ち、従業員数は増え、従業員のニーズは変化し、現地市場の状況も変わっています。
それでも、当初のパッケージがそのまま維持されていることがあります。
既存の福利厚生パッケージを自動的に更新すると、従業員のニーズに合わなくなったコストや補償内容を、企業がそのまま抱え続けることになりかねません。契約を更新するたびに、その価値や適合性、コスト削減の可能性を評価する機会とするべきです。
まずは基本的な点から確認しましょう。従業員は適切な補償を受けているでしょうか。そのパッケージは、現在の現地市場の期待水準と比べてどうでしょうか。従業員構成の変化によって、より有利な条件を交渉できる可能性は生まれていないでしょうか。
複数の国で事業を展開する企業には、さらに大きな視点からの問いもあります。十分な情報を把握し、適切な判断を下せるだけのグローバル福利厚生費用の可視性を確保できているでしょうか。
従業員数、補償内容、コストを集約して把握することで、経営陣は不足している部分を特定し、どこで変更する価値があるかを評価できます。
現地の規制、市場の期待、従業員のニーズは、国ごとに異なる福利厚生のあり方を常に左右します。定期的に見直すことで、企業は福利厚生パッケージを適切な状態に保ち、古くなった制度を何も考えずに更新してしまうことを避けられます。
休眠状態または利用頻度の低い法人をどうすべきか?
市場機会を見込んで法人を設立したものの、その機会が実現しなかったのかもしれません。あるいは、買収によって重複する法人組織が残った可能性もあります。また、従業員が別の場所へ移り、商業活動がほとんどない法人だけが残っている場合もあるでしょう。
従業員も収益も実質的な事業活動もない法人は、放置しても問題がないように思えるかもしれません。しかし、事業を停止したからといって、必要な事務手続きがなくなるわけではありません。
法域によっては、法人は引き続き法定記録を維持し、各種届出を行い、会計書類を作成し、その他のコンプライアンス要件を満たす必要があります。法人が収益を生み出していなくても、こうした責任は継続します。
商業的な観点から、私はこれをシンプルな問いとして捉えています。その法人は、現在どのような目的を果たしているのでしょうか。
維持する明確な理由があれば、その費用を正当化できるかもしれません。そうでなければ、利用可能な場合には休眠法人としての登録や、正式な閉鎖を含め、選択肢を検討するべきです。
法人の閉鎖には、税務上の清算手続き、未提出の届出への対応、規制上の手続きが伴うことがあります。利用頻度の低い法人を早めに見直すことで、企業は義務を確認し、不要な継続コストを回避し、必要に応じて秩序立った閉鎖を計画する時間を確保できます。
最後の90日間で、現実的に何を達成できるか?
90日あれば、業務運営を大きく改善できる場合があります。ただし、実際の所要期間は、対象となる国、移行するサービス、既存データの品質によって異なります。
GoGlobalでクライアントのオンボーディングを行う際、当社は既存データの品質を評価します。データが正確で、必要な情報がすべて揃っていれば、プロセスははるかにスムーズになります。給与記録の欠落、従業員情報の不一致、過去の義務の不明確さは、追加作業の原因になります。
データが適切に整った単純な新規セットアップであれば、45日で十分な場合があります。複数の給与計算を並行して実施するような、より複雑な移行では90日以上かかることもあります。複数の法域が加われば、スケジュールはさらに複雑になります。
まずは、チームの負担を最も大きく軽減できる変更から着手しましょう。
対象を絞った業務体制の見直しから始める
まず、次の4つの領域から着手することをお勧めします。
| 優先領域 | 見直す項目 | 目指す成果 |
|---|---|---|
| EORと法人の体制 | 従業員数、市場計画、コスト、既存法人 | 維持・変更・閉鎖すべき体制を特定する |
| ベンダーとの関係 | プロバイダー、契約、更新時期、責任範囲 | 管理を簡素化できる機会を見つける |
| 福利厚生 | 補償内容、料金、従業員のニーズ、更新条件 | 価値を高め、不足している部分を特定する |
| データとコンプライアンス | 給与記録、報告義務、未提出の届出 | 管理された移行に備える |
まず、最も大きなコスト、リスク、事務負担を生み出している体制を特定します。そのうえで、それらに対処する順序を決めます。
例えば、給与計算プロバイダーの集約を計画している場合、移行を始める前に信頼できる過去のデータを確保する必要があります。EORから現地法人への移行を検討している場合は、従業員の移行日を設定する前に、法人設立と雇用に関する要件を評価しなければなりません。
優れた計画では、こうした依存関係を認識し、すべての変更を個別のプロジェクトとして扱うことはしません。
うまくいったことを評価する時間も確保する
業務体制の見直しは、問題点だけに焦点を当てるべきではありません。うまくいったことを評価することにも価値があります。
新しい市場に参入し、海外チームを構築し、新たな成長機会につながる顧客との関係を築いてきたかもしれません。そうした成果を実現するうえで、どのパートナーシップや運営体制が役立ったのかを考えてみましょう。
目標は、すべてを変更することではありません。うまく機能しているものを維持し、機能していないものに対処し、次の成長段階を支えられる運営モデルを整えることです。
年末を迎える前にグローバル対応の体制を整えるためのよくある質問
なぜ第4四半期は国際事業の運営体制を見直すのに適しているのですか?
第4四半期には、予算策定、人員計画、ベンダー契約の更新、年末の報告業務が重要になります。国際事業を展開する企業にとって、運営体制を見直し、次の会計年度が始まる前に変更の準備を進めるための現実的な機会となります。
EORと自社の現地法人のどちらが適切か、どのように判断すればよいですか?
適切なモデルは、従業員数、市場への関与、運営コスト、商業上の要件、現地の規制によって異なります。EORは長期的にも有効なソリューションであり続ける場合がありますが、事業のニーズの変化に伴い、現地法人の設立が有利になることもあります。すべての企業に共通する従業員数の基準はありません。それぞれの企業の状況と成長計画に基づいて判断する必要があります。
海外のサービスプロバイダーを集約するメリットは何ですか?
サービスの集約によって、事務作業を減らし、コストの可視性を高め、責任の所在を明確にできる可能性があります。また、報告業務やベンダー管理の簡素化にもつながります。ただし、現地で大きな業務上またはコンプライアンス上のメリットをもたらす専門プロバイダーについては、引き続き利用するべきです。
海外の給与計算プロバイダーを移行するには、どのくらいの期間がかかりますか?
データが完全に揃っている単純なセットアップであれば、約45日かかる場合があります。過去の記録、並行した給与計算、複数の国が関わるより複雑な移行では、90日以上かかることもあります。実際の所要期間は、対象となるサービス、法域、データの品質によって異なります。
年の途中で給与計算プロバイダーを変更することはできますか?
はい。年の途中で給与計算プロバイダーを移行することは可能ですが、移行元と移行先のプロバイダー間で調整が必要です。給与計算の継続処理と、該当する年末の報告義務に対応できるよう、過去の給与情報を正確に引き継がなければなりません。
休眠状態の法人を閉鎖せずに残しておくと、どうなりますか?
休眠状態または事業活動を停止した法人であっても、現地法に応じて、会計、届出、税務、コーポレートガバナンスに関する義務が残る場合があります。こうした要件を満たさなければ、罰則やコンプライアンス上のリスクにつながる可能性があります。企業は、利用していない法人を維持するのか、休眠法人として正式に登録するのか、閉鎖するのかを定期的に評価するべきです。
事業は成長した。その運営モデルも成長に追いついているか?
事業が拡大するにつれて、国際的な運営モデルもそれに合わせて進化させる必要があります。既存の体制を必ずしも置き換える必要はありません。うまく機能しているものを維持したり、プロバイダーを集約したり、特定の市場で別の体制を選択したりすることが適切な場合もあります。
GoGlobalでは、EORの継続利用、現地法人の設立、あるいは複数の市場における給与計算、会計、コンプライアンスの管理体制の簡素化など、企業が選択肢を評価し、適切なソリューションを導入できるよう支援しています。
この1年間、皆さんは国際事業の構築に取り組んできました。次の年が始まる前に、その事業を支える運営体制が、これから計画しているすべての取り組みに対応できる状態になっているかを確認しましょう。
GoGlobalのグローバルソリューションが、国際的な事業展開や持続可能な貴社の成長をサポートします。
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